龍と宝珠 ー神戸・性海寺蔵如意輪観音画像についてー
Dragon and Cintamani(sacred gem) A Study of the Image of Nyoirin-kannon(Cintamani-cakra)at Shokaiji-temple in Kobe
川野 憲一
( Kawano Norikazu )
神戸市西区性海寺に伝来した新出中世仏画・絹本著色如意輪観音画像についての考察。まず、図像・表現の分析から、古式な図像と当時最新の様式という矛盾する要素をもった14世紀前半制作の絵画であることを指摘。さらに、この時期、古い図像に最新の様式をまとわせた仏画が急増することを確認。この謎を解くために13世紀~14世紀における性海寺の歴史を史料から探り、1302年、真言律僧・忍性の関与で同寺が関東祈祷所となっていることに注目。武家勢力=禅律勢力 対 公家勢力=顕密勢力の対立という時代の流れの中で、南都の伝統を堅持しつつ、従来の顕密勢力と一線を画した真言律僧の存在証明として、性海寺本のような絵画が制作されたと結論づけた。
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2021-11-19
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