『御用唐木細工物雛形』について ー近世後期長崎における工芸史料の紹介ー
The Goyō karaki saikumono hinagata(Patternbook of foreign carpentary for ofncial use)ーan introduction to a histrical source concerning craftwork of the late Edo Period in Nagasaki-
勝盛 典子
( Katsumori Noriko )
近年、近世後期の輸出漆器について、京都か長崎かという製作地の問題が認識されるようになってきた。筆者は、西川如見著『長崎夜話草』(享保5年刊)に長崎製の塗物道具が皆唐風とされていることに注目し、長崎の青貝細工の製作状況を把握する第一歩として、この時期の長崎工芸の特色である「唐風」のイメージを喚起することを課題と考えた。 本稿では、長崎の御用唐木細工師が石谷備後守(宝暦12年補職)から大草能登守(天保4年転免)にいたる歴代の長崎奉行に献上した唐木細工の雛形に、寸法・材質・文様・技法などを注記した『御用唐木細工物雛形』を、先に述べた課題に応えるための基礎資料として翻刻・紹介し、若干の考察を加えている。
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2021-11-15
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