第Ⅵ章 小和田 吹切遺跡
田中 万智
本年度調査地点は平成12年度調査地点と比較して、古代~中世にかけての堆積層であるⅢ層の残存状況が良好な地点が多かった。これは平成12年度調査地点よりも砂丘の南側低地部分に近いため、後世の土地改変による影響が少なかったものと推測される。遺物の出土量に対して遺構の確認数が少ないという特徴もあり、これは6区にみられる酸化面が示すように、湧水面が高いことが積極的な土地利用を妨げていたものと考えられる。なお、遺跡範囲の端部および隣接地である14・15区でも酸化面が確認されていることから、遺跡範囲の周辺は砂丘内の低地に囲まれていた可能性も指摘できる。6区から動物遺存体が出土しており、顎骨と犬歯の特徴からイヌと考えられる。骨はまとまって出土したものの全身全ての骨がそろっているわけではないことから、下顎骨の咬合関係を用いて一個体分と判断した。頭骨の遺存状況が悪く、顎骨を除くと頭頂部の一部のみ残存している状況のため、年齢やオス・メスの判断はつかなかった。
田中万智 2025「第Ⅵ章 小和田 吹切遺跡」 『公共下水道布設関連遺跡調査報告Ⅲ』茅ヶ崎市埋蔵文化財調査報告
https://sitereports.nabunken.go.jp/ja/article/127183
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