縄文時代の丸石-栃木県那須塩原市槻沢遺跡の発掘調査事例から-
Round Stones in Jomon Era: Considered from Excavation at Tsukinokizawa Site, Nasushiobara City, Tochigi Prefecture.
後藤 信祐
( GOTO Shinsuke )
今から30年以上前、平成3~5年度の槻沢遺跡の発掘調査で確認した丸石という遺物。その後、本県の縄文時代の発掘調査報告書は数多く刊行されるが、一向に類例は増えない。ここでは槻沢遺跡の丸石の出土状況を示し、関連する県内及び近県に類例を求め、出土例の多い甲信地方の丸石の時期や出土状況について検討を行った。槻沢遺跡8例、栃木県・福島県の5遺跡6例の出土状況等を検討した結果、縄文中期後葉~末葉の竪穴住居跡出土例が多く、後期初頭に屋外遺構の出土例がみられること、竪穴住居出土事例では火災住居・倒置深鉢・石棒(立石)の共伴の割合が高く、甲信地方の丸石の時期や出土状況などが酷似し、埋甕や石棒祭祀・曽利式系土器などを含め甲信地方との関連が注目される遺物であることを改めて確認した。
後藤信祐 2025「縄文時代の丸石-栃木県那須塩原市槻沢遺跡の発掘調査事例から-」 『研究紀要』
https://sitereports.nabunken.go.jp/ja/article/126185
