越後妻有地域における仏像調査報告－天福山真浄院－

A report on the investingation of Buddhist statues in the Echigo-Tsumari region Tenpukusan Shinjo-in Temple

　十日町市における指定文化財のうち、仏像については県指定が 2 件、市指定が 9 件ある。市内には未だ調査されていない寺社が多く存在するが、私見では江戸時代の優作も見受けられた。
　本稿は令和 5 ～ 6 年にかけて四日町天福山真浄院で行われた仏像悉皆調査の結果を伝えるものである。今回の調査ではいくつかの仏像に銘文が確認され、このうちの 2 件については作者が判明した。制作年については記載がないが、片や江戸時代に活躍した京仏師一運法橋、片や明治時代に小千谷を拠点に活躍した彫刻師柳田昌穏の作であった。これらはこれまでの真浄院の歴史を補填するものであるとともに、郷土史における他地域との交流を表すものである。聞くところによると市内の他寺院でも同仏師の作と伝える仏像がいくつか存在する。今後もこれらの仏像を継続的に調査していくことが 1 つの課題であり、妻有地域における仏教文化の解明に繋がるだろう。