栃木県内における後期旧石器時代の東北頁岩について
The Shale Used as Stone Tool Material Imported from Tohoku Region During the Upper Palaeolithic Period in Tochigi Prefecture: Part 1
芹澤 清八
( SERIZAWA Seihachi )
栃木県の後期旧石器時代の全般を通して、また縄文時代への橋渡しとなる神子柴段階から草創期では大型の尖頭器が、さらに縄文時代前期にはやはり大型な抉入尖頭器(両尖匕首)など、本県には明らかに東北地方を供給元とする珪質ないしは硬質頁岩が原礫や素材剥片、また製品として搬入されていることは疑いようもない事実である。既に下総台地では、これらの石材の使用について幾つかの時期が確認され、栃木・茨城方面を経由してもたらされたとの論考もある。このことを裏付けるためにも、先ず東北からの玄関口である本県の状況を的確に把握することが必要である。