岩瀬文庫所蔵「清洲図」について -清須城下町の復元に関連して-
鈴木 正貴
西尾市岩瀬文庫所蔵「清洲図」は岡田啓(康礼)が天保年間末頃に模写した図で、清洲宿を含めた美濃街道を中心に描かれた図に清須城に関連する故地が書き込まれたものである。これについて、近世後期に制作された清洲に関する地誌類や絵図類などと比較・検討した。この結果、清須城に関する故地の調査は『張州府志』を嚆矢とし19 世紀前半に研究が進んだことが判明したが、これらの記述は廃城から200 年以上経過しており、大いに参考になるもののその信憑性にはやや疑問が残るものといえる。