四十八塚古墳群に埋葬された被葬者を考察する-遺物・遺構及び人類学的な視点から-
谷畑 美帆
( TANIHATA Miho )
中村 享史
( NAKAMURA Takashi )
内山 敏行
( UCHIYAMA Toshiyuki )
栃木県域南西部に所在する佐野市四十八塚古墳群の成人人骨と歯牙から、各古墳に3体程度(2〜4体)を北頭位で埋葬したことを推定した。横穴式石室は無袖型長方形と両袖型胴張形に大きく分類できることと、古墳周溝や主体部の間に重複関係がなく、周溝を回避する事例があることを指摘した。石室内に複数体を埋葬する一方で栃木県域中央部のような周溝内埋葬をしないことの物理的・社会的理由と、北関東西部で後期群集墳の中小円墳に小札甲を副葬する背景を検討した。副葬遺物との関係を検討すると、2体を埋葬するSZ-471とSZ-472は土器型式で1型式または2型式、3体または4体を埋葬するSZ-478では4型式に相当する埋葬期間を持つ。また、石室奥壁付近の被葬者に副葬品が多い傾向がみられた。