下野国における新治系均整唐草文宇瓦について
齊藤 達也
( SAITOU Tatsuya )
下野国における均整唐草文宇瓦のうち、常陸国からの影響を強く受けていると考えられてきた軒先瓦、いわゆる「新治系軒先瓦」の内、均整唐草文宇瓦の年代的位置付け及び編年試案の検討を行った。祖形となる常陸国分寺式軒先瓦の成立を8世紀第2四半期の後半に位置付け、8世紀第3四半期初頭までに芳賀郡衙(中村遺跡)へ伝播している様相がつかめた。予察として、その背景には芳賀郡が新治廃寺の補修に際して援助を行っていた可能性があることを考えた。