近接する遺跡間における同一年代の縄文土器の比較(2)-八溝山地西麓と東麓の中期縄文土器を対象として-
塚本 師也
( TSUKAMOTO Moroya )
前稿で八溝山地鶏足山塊西麓部にある二つの遺跡の阿玉台Ⅳ式期の土器を比較した。栃木県益子町御霊前遺跡には、12km離れた茂木町桧の木遺跡には無い土器(第8図)が存在することが明らかになった(塚本2014a)。本稿では、桧の木遺跡から11.5km離れた茨城県常陸大宮市の赤岩遺跡、滝ノ上遺跡の阿玉台Ⅳ式期の土器を分類して、桧の木遺跡および御霊前遺跡の土器と比較した。阿玉台Ⅳ式土器はよく似ているが、それに伴う大木式系土器のなかに桧の木遺跡や御霊前遺跡にはない土器(第12図)が存在することが判った。阿玉台Ⅳ式期の八溝山地鶏足山塊、鷲子山塊周辺では、11~12km離れると形態、装飾の異なる土器が存在することが想定できた。また、八溝山地の東側と西側で、大木式系土器の把手の形状が異なることも確認した。