永野川流域の古墳時代大刀と馬具―栃木市伯仲1号墳とその周辺地域を考える―
Kofun Period Swords and Harnesses around the Nagano River : Considering the Hakuchu No. 1 Burial Mound in Tochigi City and its Surrounding Area.
内山 敏行
( UCHIYAMA Toshiyuki )
栃木県域南西部の永野川流域周辺に装飾大刀や馬具が多い。古墳後期前・中葉に三鈴杏葉や大加耶系装飾馬具・大刀が出土する。後期後葉には、径20mの赤麻1号墳の金銅装轡・圭頭大刀が、この地域最大の後期前方後円墳である伯仲1号墳の鉄製轡・鉄装円頭大刀より優位にみえる。後期末~終末期は富田古墳の装飾大刀や駒塚古墳の装飾馬具が最上位である。後期後葉には群集墳の頂点をなす地位以上が副葬した装飾大刀が、後期末葉から群小墳に波及して地位や家格を表示しているのか不明瞭になる。丘陵に多い後期群小墳から離れた平地に後期有力墳を造る理由として、中期古墳の立地を継承したことを推定する。