東海地方の鉄器の出現
杉山 和德
弥生時代における東海地方の鉄器化の実態に迫るため、出土鉄器の集成をおこない、各器種の様相を把握した。東海地方における鉄器の出現は弥生時代中期にまで遡るが、多岐に渡る器種が一定量認められ始めるのは、弥生時代後期からとなる。愛知県豊田市の南山畑遺跡で検出された鍛冶遺構の存在や、従来「不明鉄器」とされてきたものの用途を積極的に評価することで、弥生時代終末期には、鉄板鏨切りによる小型鉄器の製作や、鉄器の再加工による転用といった簡易な鉄器製作・鉄加工は既におこなわれ始めていた可能性を考えた。