「石峯寺経塚」遺物の再検討
Reexamination of Objects exacavated from ‟Shakubuji Sutra Mound”
森田 稔
( Morita Minoru )
神戸市北区淡河町に所在する石峯寺経塚出土とされる一群の遺物を再検討した結果、当館所蔵の永久5年の奥書がある法華経残片を含む重要美術品の認定を受けた6件は「筑紫国某所経塚出土」および出土地不明の資料であることが確認された。それに伴い、石峯寺出土の瓜蝶鳥刻文壺の年代観が「永久5年」の呪縛から解き放たれ、新たに中世丹波窯発生の問題を考察する必要にせまられた。検討の結果、石峯寺出土の瓜蝶鳥刻文壺は渥美窯系の技術がみられることなどから12世紀末葉に比定された。また、中世丹波窯は東海諸窯の影響を受けつつ12世紀第4四半期に成立したものとみるに至った。
森田稔 1991「「石峯寺経塚」遺物の再検討」 『神戸市立博物館研究紀要』
https://sitereports.nabunken.go.jp/ja/article/19863