鞠智城周辺における条里痕跡から復元する古代交通路の様相
Utumi Shirou
( 内海 史郎 )
道路の敷設と条里地割をはじめとした土地開発は方位軸や境界を共有しうる。菊鹿盆地内においては複数の条里地割が展開されており四種に大別され、台台地、菊池低地、内田川流域、御宇田台地上に、地形単位で開発が行われた。それぞれの方位軸は菊池川の走行方向とほぼ平行の斜方位を取る。しかし、内田川流域においては正方位を示し、御宇田遺跡群の存在から鞠智城との関連が想定される。菊鹿盆地内において内田川流域の土地開発計画は特異なものであり、鞠智城に隣接し車路や菊池川にも容易にアクセスできる立地から、鞠智城に伴う交通の要所であった。