本事業について
本事業の概要
全国遺跡報告総覧(以下、遺跡総覧)は、埋蔵文化財の発掘調査報告書(以下、報告書)をインターネット上で公開することで、必要とする人が誰でも手軽に調査・研究や教育に利用できる環境の構築を目指して、国立文化財機構奈良文化財研究所(以下、奈文研)を代表機関として、自治体、大学、博物館、法人調査組織、学会等が共同で推進している事業です。
報告書は、埋蔵文化財の発掘調査全般の成果をまとめたもので、都道府県や市町村の教育委員会(以下、自治体等)から毎年約1,500冊程度発行されています。発掘調査は国民共有の財産である埋蔵文化財の解体や現状変更を必ず伴うものであり、その記録を詳細にまとめた報告書は公共性が高く、広く共有されるべきものです。また、専門的・学術的内容も多く含んでいることから大学等での考古学研究・教育の場においても重要な資料として位置づけられています。
一方で、報告書は300部程度の少部数発行であり頒布範囲も限られるため、所在の確認も含め、冊子体の利用は必ずしも容易ではありません。遺跡総覧の前身にあたる全国遺跡資料リポジトリ・プロジェクトは、このように、研究者や学生を中心に需要は大きいものの灰色文献であるため利用しにくい報告書を電子化・公開することで、その可視性を高めるとともに、利用環境の向上を目指した大学図書館発の取り組みでした。
遺跡総覧は、この全国遺跡資料リポジトリ・プロジェクトによって分散構築されていたシステムとコンテンツを奈文研が統合的に引き継ぎ、2015(平成27)年6月より公開・運用しています。報告書の利活用を促進するために外部の情報基盤と積極的にデータ連携しながら、利便性向上のための機能開発や埋蔵文化財を中心とした各種情報のプラットフォームとしての役割強化も図っています。また、登録機関・件数を増やすために、文化庁とも連携しながら全国の自治体等への働きかけを継続的に行っています。
全国遺跡資料リポジトリ・プロジェクトについて
全国遺跡資料リポジトリ・プロジェクトは、国立情報学研究所(NII)の最先端学術情報基盤(CSI)整備事業の委託を受けて、2008(平成20)年度~2012(平成24)年度の5年間にわたって、全国21の国立大学附属図書館と自治体等の文化財担当部署が連携して取り組んだプロジェクトです。
期間中、連携大学は各府県内の自治体等から報告書を収集し、電子化及び登録・公開作業を行いました。電子化は、主に科学研究費補助金研究成果公開促進費を活用して行い、委託事業期間に約14,000冊の報告書を公開しています。しかしながら、大学主体の運用モデルは、参加地域の伸び悩みや運用コスト等といった点に課題があり、プロジェクトの発展性・継続性を確保するためにシステム移管も含めた検討を進め、関係機関との協議を重ねました。
最終的に、2014年度、プロジェクト当初からメタデータ提供などで協力関係にあった奈文研への移管が決まり、システム開発や連携大学間での調整を経て、2015年6月に全国遺跡報告総覧として公開しました。遺跡総覧の運用開始により、全国で発行された報告書をまとめて公開する仕組みが構築され、利便性向上だけでなく、より統一的なデータの管理が可能となりました。
遺跡総覧公開後は、代表機関であった島根大学附属図書館が奈文研とともに事務局として運営に携わっているほか、各大学(図書館)が持つ学術情報流通に関する知見等も活かしながら本事業の発展を下支えしています。
プロジェクトについての詳細は、こちら(第3期CSI委託事業報告書/PDFファイル)をご覧ください。
<連携大学(図書館)> ※委託事業最終年度(2012年度)時点
東北大学/秋田大学/山形大学/信州大学/筑波大学/富山大学/滋賀大学/大阪大学/神戸大学/奈良女子大学/鳥取大学/岡山大学/広島大学/山口大学/徳島大学/香川大学/愛媛大学/高知大学/九州大学/宮崎大学/島根大学(代表機関)
本事業の経緯
遺跡資料リポジトリ時代も含めた、本事業にかかる主要な出来事や機能改善などを時系列で紹介します。
2008(平成20)年度
- 中国地方5県域(大学)で遺跡資料リポジトリの運用開始(各大学が個別にサーバ管理)
- メタデータの収集・作成開始(奈文研とも連携)
- 報告書の電子化開始(NIIのCSI事業費)
2009(平成21)年度
- 12府県域(大学)へ拡大(各大学が個別にサーバ管理)
- 横断検索・全文検索に対応するためのシステム改修
- 報告書の電子化(CSI事業費/科研費)
2010(平成22)年度
- 20府県域(大学)へ拡大
- NII共同サーバ上にシステム構築(新規参加大学向け)
- オープンカンファレンス開催(2010.12@大阪) 予稿集
- 報告書の電子化(CSI事業費/科研費)
2011(平成23)年度
- 自治体セルフ・アーカイブ移行のためのシステム改修
- 全国の自治体にアンケート調査を実施
- プロジェクトが推進する電子化仕様を公開
- ワークショップ開催(2010.11@東京/同.12@福岡)予稿集
- 報告書の電子化(CSI事業費)
2012(平成24)年度
- CSI委託事業最終年度
- 22府県域(21大学)へ拡大
- 報告書の電子化(CSI事業費/科研費)
- 奈文研と広域モデル実証実験開始(報告書発行機関による直接参加が可能に)
- シンポジウム開催(2012.11@福岡)予稿集
2013(平成25)年度
- 報告書の電子化(科研費)
- 奈文研とシステム移行に向けた協議開始
2014(平成26)年度
- 島根大学附属図書館全国遺跡資料リポジトリ推進会議事務局が国立大学図書館協会賞を受賞(2014.6) 詳細
- 連携大学実務者会議でシステムの統合・移管が決定(2014.11)
- 旧システムの凍結及びシステム移行作業(2014.12~)
2015(平成27)年度
- 連携大学による新システムの検証(負荷テスト等)
- 全国遺跡報告総覧の公開(公開時点の報告書14,374冊)(2015.6)なぶんけんブログ
- データ登録再開(2015.8)
- ディスカバリーサービス(Summon)との連携開始(2015.9)なぶんけんブログ
- 報告書本文データの登録件数が15,000件に(2015.10)なぶんけんブログ
- シンポジウム開催(2016.2@奈良)開催概要 当日資料
- CiNii Booksとの連携開始(2016.3)なぶんけんブログ
2016(平成28)年度
- 英語自動検索機能公開のお知らせ(2016.8)なぶんけんブログ
- イベント情報(文化財イベントナビ)の登録・公開機能を追加(2016.9)なぶんけんブログ
- シンポジウム開催(2016.11@奈良)開催概要 当日資料
- Worldcat(ディスカバリーサービス含む)との連携開始(2017.2)なぶんけんブログ なぶんけんブログ(その2)
2017(平成29)年度
- ディスカバリーサービス(EDS)との連携開始(2017.4)なぶんけんブログ
- 報告書の頻出用語を可視化したワードマップを公開(2017.4)なぶんけんブログ
- 報告書本文データの登録件数が20,000件に(2017.7)なぶんけんブログ
- 文化財報告書にDOIの付与会誌(2017.7)なぶんけんブログ
- 考古学関係用語辞書拡充(2017.8)なぶんけんブログ
- 「データ登録に関する今後の方針」を公開(2017.10)なぶんけんブログ
- 報告書発行機関向けの説明会を開催(5会場:奈良/仙台/岡山/福岡/東京)開催概要 第1回予稿集 第2回予稿集
2018(平成30)年度
- モバイル端末向けPDFの公開(2018.8)なぶんけんブログ
- 遺跡(抄録)検索機能の公開(2018.12)なぶんけんブログ
- ディスカバリーサービス(Primo)との連携開始(2018.12)なぶんけんブログ
- 全埋協抄録データベースの統合完了(2019.1)なぶんけんブログ
- 奈文研での関連研修内容をまとめた刊行物を遺跡総覧で公開(2019.3)なぶんけんブログ
- 報告書発行機関向けの説明会を開催(5会場:京都/福島/石川/埼玉/大分)開催概要
製作クレジット
全国遺跡報告総覧のシステム開発は、次の組織が行いました。(所属等は2015.6時点)
奈良文化財研究所
・企画調整部文化財情報研究室
高田祐一
・ロゴ・バナーデザイン
能勢 真理子
島根大学附属図書館
田中俊二、昌子喜信、福山栄作、矢田貴史
ENUTechnologies
永島幹大
研究協力者
Walter Edwards、Marjorie Burge、Dessislava Veltcheva
本事業の概要
全国遺跡報告総覧(以下、遺跡総覧)は、埋蔵文化財の発掘調査報告書(以下、報告書)をインターネット上で公開することで、必要とする人が誰でも手軽に調査・研究や教育に利用できる環境の構築を目指して、国立文化財機構奈良文化財研究所(以下、奈文研)を代表機関として、自治体、大学、博物館、法人調査組織、学会等が共同で推進している事業です。報告書は、埋蔵文化財の発掘調査全般の成果をまとめたもので、都道府県や市町村の教育委員会(以下、自治体等)から毎年約1,500冊程度発行されています。発掘調査は国民共有の財産である埋蔵文化財の解体や現状変更を必ず伴うものであり、その記録を詳細にまとめた報告書は公共性が高く、広く共有されるべきものです。また、専門的・学術的内容も多く含んでいることから大学等での考古学研究・教育の場においても重要な資料として位置づけられています。
一方で、報告書は300部程度の少部数発行であり頒布範囲も限られるため、所在の確認も含め、冊子体の利用は必ずしも容易ではありません。遺跡総覧の前身にあたる全国遺跡資料リポジトリ・プロジェクトは、このように、研究者や学生を中心に需要は大きいものの灰色文献であるため利用しにくい報告書を電子化・公開することで、その可視性を高めるとともに、利用環境の向上を目指した大学図書館発の取り組みでした。
遺跡総覧は、この全国遺跡資料リポジトリ・プロジェクトによって分散構築されていたシステムとコンテンツを奈文研が統合的に引き継ぎ、2015(平成27)年6月より公開・運用しています。報告書の利活用を促進するために外部の情報基盤と積極的にデータ連携しながら、利便性向上のための機能開発や埋蔵文化財を中心とした各種情報のプラットフォームとしての役割強化も図っています。また、登録機関・件数を増やすために、文化庁とも連携しながら全国の自治体等への働きかけを継続的に行っています。
全国遺跡資料リポジトリ・プロジェクトについて
全国遺跡資料リポジトリ・プロジェクトは、国立情報学研究所(NII)の最先端学術情報基盤(CSI)整備事業の委託を受けて、2008(平成20)年度~2012(平成24)年度の5年間にわたって、全国21の国立大学附属図書館と自治体等の文化財担当部署が連携して取り組んだプロジェクトです。期間中、連携大学は各府県内の自治体等から報告書を収集し、電子化及び登録・公開作業を行いました。電子化は、主に科学研究費補助金研究成果公開促進費を活用して行い、委託事業期間に約14,000冊の報告書を公開しています。しかしながら、大学主体の運用モデルは、参加地域の伸び悩みや運用コスト等といった点に課題があり、プロジェクトの発展性・継続性を確保するためにシステム移管も含めた検討を進め、関係機関との協議を重ねました。
最終的に、2014年度、プロジェクト当初からメタデータ提供などで協力関係にあった奈文研への移管が決まり、システム開発や連携大学間での調整を経て、2015年6月に全国遺跡報告総覧として公開しました。遺跡総覧の運用開始により、全国で発行された報告書をまとめて公開する仕組みが構築され、利便性向上だけでなく、より統一的なデータの管理が可能となりました。
遺跡総覧公開後は、代表機関であった島根大学附属図書館が奈文研とともに事務局として運営に携わっているほか、各大学(図書館)が持つ学術情報流通に関する知見等も活かしながら本事業の発展を下支えしています。
プロジェクトについての詳細は、こちら(第3期CSI委託事業報告書/PDFファイル)をご覧ください。
<連携大学(図書館)> ※委託事業最終年度(2012年度)時点 東北大学/秋田大学/山形大学/信州大学/筑波大学/富山大学/滋賀大学/大阪大学/神戸大学/奈良女子大学/鳥取大学/岡山大学/広島大学/山口大学/徳島大学/香川大学/愛媛大学/高知大学/九州大学/宮崎大学/島根大学(代表機関)
本事業の経緯
遺跡資料リポジトリ時代も含めた、本事業にかかる主要な出来事や機能改善などを時系列で紹介します。- 中国地方5県域(大学)で遺跡資料リポジトリの運用開始(各大学が個別にサーバ管理)
- メタデータの収集・作成開始(奈文研とも連携)
- 報告書の電子化開始(NIIのCSI事業費)
2008(平成20)年度
- 12府県域(大学)へ拡大(各大学が個別にサーバ管理)
- 横断検索・全文検索に対応するためのシステム改修
- 報告書の電子化(CSI事業費/科研費)
2009(平成21)年度
- 20府県域(大学)へ拡大
- NII共同サーバ上にシステム構築(新規参加大学向け)
- オープンカンファレンス開催(2010.12@大阪) 予稿集
- 報告書の電子化(CSI事業費/科研費)
2010(平成22)年度
- 自治体セルフ・アーカイブ移行のためのシステム改修
- 全国の自治体にアンケート調査を実施
- プロジェクトが推進する電子化仕様を公開
- ワークショップ開催(2010.11@東京/同.12@福岡)予稿集
- 報告書の電子化(CSI事業費)
2011(平成23)年度
- CSI委託事業最終年度
- 22府県域(21大学)へ拡大
- 報告書の電子化(CSI事業費/科研費)
- 奈文研と広域モデル実証実験開始(報告書発行機関による直接参加が可能に)
- シンポジウム開催(2012.11@福岡)予稿集
2012(平成24)年度
- 報告書の電子化(科研費)
- 奈文研とシステム移行に向けた協議開始
2013(平成25)年度
- 島根大学附属図書館全国遺跡資料リポジトリ推進会議事務局が国立大学図書館協会賞を受賞(2014.6) 詳細
- 連携大学実務者会議でシステムの統合・移管が決定(2014.11)
- 旧システムの凍結及びシステム移行作業(2014.12~)
2014(平成26)年度
- 連携大学による新システムの検証(負荷テスト等)
- 全国遺跡報告総覧の公開(公開時点の報告書14,374冊)(2015.6)なぶんけんブログ
- データ登録再開(2015.8)
- ディスカバリーサービス(Summon)との連携開始(2015.9)なぶんけんブログ
- 報告書本文データの登録件数が15,000件に(2015.10)なぶんけんブログ
- シンポジウム開催(2016.2@奈良)開催概要 当日資料
- CiNii Booksとの連携開始(2016.3)なぶんけんブログ
2015(平成27)年度
- 英語自動検索機能公開のお知らせ(2016.8)なぶんけんブログ
- イベント情報(文化財イベントナビ)の登録・公開機能を追加(2016.9)なぶんけんブログ
- シンポジウム開催(2016.11@奈良)開催概要 当日資料
- Worldcat(ディスカバリーサービス含む)との連携開始(2017.2)なぶんけんブログ なぶんけんブログ(その2)
2016(平成28)年度
- ディスカバリーサービス(EDS)との連携開始(2017.4)なぶんけんブログ
- 報告書の頻出用語を可視化したワードマップを公開(2017.4)なぶんけんブログ
- 報告書本文データの登録件数が20,000件に(2017.7)なぶんけんブログ
- 文化財報告書にDOIの付与会誌(2017.7)なぶんけんブログ
- 考古学関係用語辞書拡充(2017.8)なぶんけんブログ
- 「データ登録に関する今後の方針」を公開(2017.10)なぶんけんブログ
- 報告書発行機関向けの説明会を開催(5会場:奈良/仙台/岡山/福岡/東京)開催概要 第1回予稿集 第2回予稿集
2017(平成29)年度
- モバイル端末向けPDFの公開(2018.8)なぶんけんブログ
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