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大形前方後円墳の築造企画(1) 栃木県国分寺町山王塚古墳の復元をめぐって

小森 紀男 ( KOMORI Norio ) 齋藤 恒夫 ( SAITOU Tsuneo )
 山王塚古墳は、国分寺町大字国分甲字阿弥陀1404~3番地に所在する大型の前方後円墳である。
 山王塚古墳の発掘調査に汗を流し、また報告書作成に図面の墨を入れながら、常に頭にあったことは、なぜ、埋葬施設が前方部のくびれ部よりに存在し、なぜ、石室の平面プランが歪んだ形状を呈しているのかだった。そのような時、石部正志先生は、「これほどの大型古墳であるから、埋葬施設の位置も、その構造も、墳丘の、あるいは石室の全体的な平面プランの中で、必ず位置づけられているはずですよ」と言われ、それに関する種々の助言をして下さった。
 解決の糸口は、石室の「掘り方」の南北ラインが、奥壁と玄門のそれぞれ中央を結んだラインに平行していることと、山王塚古墳と国分寺愛宕塚古墳の埋葬施設の位置が、全く同じ位置関係にあるらしいということの2点であった。この見通しの中で検討した結果、山王塚古墳と国分寺愛宕塚古墳とは、同ーの築造企画にもとづいて築造されていること、山王塚古墳の石室の歪みも、1つの築造企画にもとづいて墳丘と石室の有機的な関連のもとで構築されていることが明らかとなった。従来、墳丘は墳丘、石室は石室というように別々に考えられ、検討を加えられがちであった。しかし、今回の細やかな調査によって、墳丘における石室の位置も、総体として、全体的な築造企画の中に位置づけられていることを示すことができた。
 本小考では、山王塚古墳と国分寺愛宕塚古墳とが、きわめて密接な関係をもって営まれていたことが明らかとなった。思川・姿川流域を中心に分布する、下野型とよばれる大型古墳は、石室の位置・石材・構築法などが共通するほか、墳丘の規模にも相互の企画性が認められるという。今後はさらに、地域を広め、墳丘の築造企画とともに埋葬施設の比較検討を行い、その背景にあるものを問題にしていきたい。本小考がそのための一里塚となるよう努力したく、大方の御指導、御批判をいだだけたら幸いである。
NAID :
都道府県 : 栃木県
時代 古墳
文化財種別 史跡 考古資料
史跡・遺跡種別 古墳
遺物(材質分類)
学問種別 考古学
他の電子リソース :
総覧登録日 : 2021-11-26
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この論文は下の刊行物の 85 - 106 ページ に掲載されています。

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