奈良文化財研究所 ホーム
キーワードから探す
一覧から探す
その他
おすすめ
PDFがある書誌登録数
37459 件
( 発行機関数 710 機関 )
現在の書誌登録数
131776 件
( 前年度比 + 7670 件 )
( 発行機関数 1905 機関 )
現在の遺跡抄録件数
145674 件
( 前年度比 + 3577 件 )
現在の文化財論文件数
119120 件
( 前年度比 + 1796 件 )
現在の文化財動画件数
1185 件
( 前年度比 + 175 件 )
( 登録機関数 107 機関 )
文化財イベント件数
1050 件
( 前年度比 + 254 件 )
※過去開催分含む

沖縄の戦跡考古学
Battlefield Archaeology in Okinawa

當眞 嗣一 ( TOUMA Shiichi )
5.まとめにかえて
 沖縄県における戦争遺跡の取り扱いは、沖縄戦で犠牲となった戦死者の遺骨、遺品等の収集のための戦争遺跡の掘り起こし作業から始まったが県民をしてこうした動きに駆り立てたのは、野山に散らばる沖縄戦の戦没者の遺骨を一日も早く収集し供養したいという切なる県民の願いと同時に、特に激戦地となった地域にあっては、敗戦後収容所からようやく村に戻った人々が畑仕事を再開するにあたって、まずは、野や畑に残された多くの遺骨を片付けなければはじまらなかったという切羽詰まった事情などもあったからである(註11)。勿論、こうした時期にあっては、現在のように戦死者の身元を調べ一日も早く遺族のもとに帰すという考えなど思いもつかないことであったし、ましては戦争遺跡や遺物を歴史的資料として取り扱い、これを検証し資料化していくといった視点など起こるはずもなかったのである。しかし近年では、戦争遺跡の取り扱い方についても埋蔵文化財の手続きに基づいて実施されていくことが多くなってきた。1985年から2013年度までの県内における戦争遺跡をめぐる発掘調査等開発対応は31件を数えている(註12)。その数は2013年度以降も増え続けており行政の先進的な取り組みとして評価されていいだろう(十菱2016)。また、最近の動向として水中に遺された沈没船等の戦争遺跡についても調査が行われるようになり注目されるようになってきた(宮城2014)。
 戦跡考古学が沖縄県から発信されてからもうすぐ40年となる。その間にも沖縄戦の実態を残す戦争遺跡は日々失われ、戦争を体験した世代も確実に減り続けている。そうした情況を踏まえ、人類の負の遺産である戦争遺跡や遺構・遺物の保存を図り調査・研究・活用していくことで失われいく戦争の記憶を後世に伝え、さらにまた、戦争遺跡を再び「つくらない、つくらせない」ために戦跡考古学を深化、発展させていくことが強く求められているように思われる。
NAID :
都道府県 : 沖縄県
時代 昭和
文化財種別 その他
遺跡種別 その他
遺物(材質分類) その他
他の電子リソース :
総覧登録日 : 2022-09-26
wikipedia 出典テンプレート : {{Citation ... 開く
wikipedia 出典テンプレート : {{Citation|first= 嗣一|last=當眞|contribution=沖縄の戦跡考古学|title=第1回 日本災害・防災考古学会 研究会資料・予稿集|date=2022-09-22|url=https://sitereports.nabunken.go.jp/129910|doi=10.24484/sitereports.129910}} 閉じる
このエントリーをはてなブックマークに追加

この論文は下の刊行物の 165 - 172 ページ に掲載されています。

収録刊行物